<屋久島2日目:平成20年3月21日(金) 晴れ>
午前3時20分起床。屋久島2日目は、今回の旅行のメイン・イヴェントともいうべき縄文杉登山だ。ホテル内ではすでに物音がしていて、僕たちよりも先に起床した人たちも多いみたいだ。昨夜、荷物の準備は済ませておいたので、身支度だけを済ませホテルのフロントへ。すでに20人くらいの人たちが集まっていた。昨日、朝食を弁当に代えてもらうようにお願いしておいたので、3人分の弁当を受取り、午前4時にホテルを出発。
外はまだ真っ暗だ。幸いなことに、同じホテルから車が2台出発したので僕はその後を着いて走った。宮之浦から安房までは道路もよくて走りやすいが、安房からの山道は真っ暗なうえにカーブが多く走りづらいが、先行車の後を走れるのはとても助かった。丸い月が西の空で明るく輝いていて、今日もいい天気に違いない。
途中までは昨日行ったヤクスギランドへの道路と同じだ。40分ほど走ると、荒川三叉路に到着、右折して荒川登山口へ向かう。さらに狭くカーブが多い林道を15分ほど走ると荒川登山口に到着した。荒川登山口には駐車スペースが20台ほどしかないので、早めに到着しないと路上駐車をしなければならなくなると聞いていたが、何とまだ午前5時前だというのにすでに路上駐車しなければならない状態になっていて、誘導員が駐車スペースに誘導してくれた。あたりはまだ真っ暗闇だけど、すでにたくさんの人たちであふれかえっていて、荷物を整理したり、準備体操をしたり、朝食を食べたりしている。僕たちは、車内で昨夜、朝食用に買っておいたパンを食べ、出発に向け準備を整えた。出発前にトイレに行くと、たくさんの人たちが並んでいてかなり待たなければならなかった。
午前5時30分、登山開始。まわりはまだ真っ暗闇だ。ヘッドランプの明かりを頼りに登山口へと向かう。すでに多くの人たちが歩いているので、その集団の後をついて歩く。まずはほぼ平坦なトロッコ軌道上を約7kmほど歩くことになる。歩き始めてすぐに鉄橋を渡るが、まわりが真っ暗なので恐怖心はない。ガイドツアーの団体さんが何組か道を譲ってくれ、僕たちが集団の先頭を歩くこともあったが、しばらく歩くと前を行く集団に追いついた。そんなことを繰り返しながら30分ほど歩き、午前6時頃になると夜が明けてきて、少しずつ明るくなりはじめた。
午前6時15分に小杉谷小学校跡に到着。ここはかつて屋久杉伐採に従事した人たちが住んでいた集落の跡地で、最盛期には133世帯540人が住んでいたというが、屋久杉の伐採が禁止されてからは閉鎖され、広い小学校跡地は往時の暮らしぶりがしのばれる。ここで5分ほど小休止。たくさんの人たちがここで朝食を食べていた。
午前6時30分頃にはすっかり明るくなり、鳥のさえずりが聞こえるようになってきた。空を見上げると晴天、今日もきっと素晴らしくいい天気になることだろう。明るくなったので、まわりの景色を楽しみながらトロッコ軌道をひたすら歩き続ける。楠川分れの手前に、新しくトイレが設置されていたので、ここでトイレ休憩。その後も歩き続け、予定より10分ほど早く、午前7時50分過ぎに大株歩道入り口に到着した。2時間20分ほどで7kmのトロッコ軌道を歩いたことになる。いいペースだ。
大株歩道入り口にはきれいなトイレが整備されていて、ここで小休止。座る場所もないくらいたくさんの人たちでごった返していたが、ここから先は本格的な登山道となるので、水分を補給し、軽食を食べた。
午前8時過ぎに大株歩道へ入る。いきなり急峻な坂道が出迎えてくれる。登山道に入るとさすがに人々のペースも遅くなり、なかなか自分たちのペースで登れなくなる。道を譲ったり、譲られたりしながら登り続けると、30分ほどで「翁杉」に到着。先を急ぐことにし、そのまま通り過ごし、5分ほどで有名な「ウィルソン株」に到着した。
「ウィルソン株」は300~400年前に切り倒された巨大な屋久杉の切り株で、推定樹齢は2000年、胸高周囲は13.8m、切り株の内部が巨大な空洞になっていて入ることができる。中に入ってみると、株の中とは思えないほどの広いスペースで、内部には泉が湧き、そのそばに祠が祭られている。巨大な屋久杉の切り株の中という特別な場所は、何だかとても厳かな雰囲気が漂っていた。
「ウィルソン株」で10分ほど休憩した後、再び登り始める。ここから先はさらに急峻な登山道が続き、ハードな道のりになるとのことで、ここにザックを置き、身軽になって登る人たちもたくさんいた。僕たちはザックの中に昼食用の弁当を入れているので、そのまま背負って登った。急峻な登り道には木の階段が設けられているのだけど、これを登るのがとてもキツい。我慢しながら一歩一歩登り続ける。
30分余りで「大王杉」に到着。さすがにキツかったので、ここで10分ほど休憩。青空に向かって真っ直ぐに伸びる「大王杉」の雄姿を眺めながらたくさん水を飲む。ここまで来れば「縄文杉」ももう少し。あと30分ほどの距離だ。
再び登り始め、5分ほどで「夫婦杉」を通り過ぎ、最後の急で長い木製階段を登りきると目の前には「縄文杉」が!樹齢は7200年とも言われ、樹高25.3m、胸高周囲16.4mのその巨大な「縄文杉」は、圧倒的な存在感と神々しいまでの雰囲気をまわりに漂わせ、ただそこに存在していた。7200年という気が遠くなるような長い時間、ただそこに「在り続けた」「縄文杉」からは、7200年分の時の重さがひしひしと伝わってきて、何ともいえない緊迫感が僕の心に迫ってきた。やがてそれは大きな心の震えとなり、圧倒的な感激と感動で僕の心と全身が包まれた。それは一生のうちにそう何度も味わうことのできない素晴らしい体験だった。荒川登山口から片道10km、苦しい山道を4時間30分をかけて歩いて来た者だけが味わうことのできる素晴らしい経験だった。
「縄文杉」は人々が根っこを踏まないように木製のデッキが設けられているが、そのデッキの上はとてもたくさんの人たちであふれていて、まるでどこかの観光地のようだ。しかも、次々と後続者がやって来ている。いつまでもデッキの上を占拠しているわけにもいかないので、「縄文杉」からさらに奥にある「高塚小屋」へと進む。10分ほどで到着。
「高塚小屋」は無人の避難小屋で、その周辺はちょっとした平地になっているので、ここで昼食の弁当を食べた。ホテルで朝食に代えてもらった弁当は、早朝弁当屋「島むすび」の弁当で、お腹が減っていたのでとてもおいしかった。ここで30分ほど休憩、トイレも済ませ午前10時40分過ぎに下山開始。予定よりも50分ほど早いペースだ。
もう一度「縄文杉」にご対面。デッキの上は、先ほどよりもさらに多くの人たちで賑わっている。その多くは、ガイドツアーの団体さんたちだ。ガイドさんたちが、今日の登山者は記録的な大人数だと話しているのが聞こえた。人々の間を縫って、デッキの最先端でもう一度「縄文杉」を見た。何度見ても圧倒的な姿だ。たぶん、もう二度と対面することはないだろうと思いながら、心の中で「いつまでもお元気で!さようなら」と話しかけて、「縄文杉」を後にした。
降り道は登りよりは楽だけど、続々と登って来る人たちに道を譲るため、なかなか思うように進めない。ザックは軽くなっているけれど、体の疲労はたまってきている。登りときは先を急いでどんどん登ってきたのだけど、下りるときは途中で足を止めて何枚も写真を撮影した。「ウィルソン株」で30分ほど休憩し、大株歩道入り口には午後1時30分過ぎに到着した。下山開始は予定より50分ほど早かったにもかかわらず、大株歩道入り口に帰ってきたのは予定より5分ほど遅くなっていた。ここから先はまた長いトロッコ軌道の始まりだ。その前にここで20分ほど休憩し、水分補給や行動食を食べて元気を奮い立たせた。
帰り道のトロッコ軌道の7kmはほんとうにしんどかった。何ヶ所かきれいな景色に足を止めシャッターを押したが、それ以外は単調なトロッコ軌道が続くだけ。歩いても歩いてもトロッコ軌道が続いた。それでもただひたすら歩き続け、午後4時30分、ようやく荒川登山口に無事帰還した。出発から11時間、長い長い道のりだった。路上駐車していた車のほとんどはもうすでにいなくなっていた。どうやら僕たちはかなり遅いペースで帰ってきたようだ。しかし、往復20km、11時間の縄文杉登山を終えて、体は疲れきったけれど、大きな達成感と満足感を味わうことができた。
荷物を片付けて車でホテルに戻り、お風呂の後に夕食。今日もとても豪華でおいしい食事に大満足。疲れていたので午後10時には熟睡した。
(本日の実登山時間:8時間43分 歩数:39,662歩)
ホテル「田代別館」発4:00→「荒川登山口」5:00到着~5:30発→「小杉谷学校跡」6:15着~6:20発→「楠川分れ」6:50→「大株歩道入り口」7:53着~8:06発→「翁杉」8:22→「ウィルソン株」8:29着~8:38発→「大王杉」9:15着~9:27発→「縄文杉」9:55着~10:05発→「高塚小屋」10:15着~昼食~10:44発→「縄文杉」10:55着~11:05発→「大王杉」11:57→「ウィルソン株」11:48着~13:12発→「大株歩道入り口」13:39着~13:55発→「楠川分れ」15:05→「小杉谷学校跡」15:30着~15:45発→「荒川登山口」16:38着~16:50発→ホテル「田代別館」18:00着
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